【仮想通貨の法人税】法人税法改正を解説(平成31年4月改正)

平成31年4月に法人税法改正が施行されました。その中に仮想通貨取引に係る税制の取扱いも含まれているためAerial Partners(エアリアル・パートナーズ)が解説します。

仮想通貨に係る法人税改正の経緯

このたび【どうなる?仮想通貨の税制】2019年度税制改正の大綱公表でお伝えしたとおり、企業会計基準委員会(ASBJ)により実務対応報告第38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」が公表され、会計上の取扱いが定まったことを機に、法人税法上の取扱いについても税制改正において取り扱いが明確化されています。

2018年12月14日に財務省から閣議決定を受け2019年度の税制改正の大綱が公表されました。それに基づき、「所得税法等の一部を改正する法律案」が平成31年3月27日に成立、平成31年3月29日に公布され、特段の定めがあるものを除いて平成31年4月1日に施行されました。

国税庁が税務調査等の実務を行う上での法的根拠となり、法人における実務においてもこれら法令に則った処理が求められます。

なお、個人の所得税に関しても同時に税制改正がされ、個人の確定申告手続に関しての取扱いが法定化されています。

【2019年度 仮想通貨税制改正】仮想通貨の税金にかかる変更点を解説

2019.07.18

仮想通貨に係る税制の改正内容

改正内容としては、【どうなる?仮想通貨の税制】2019年度税制改正の大綱公表でお伝えした通り、仮想通貨を保有する法人の期末時の評価方法が明確化されました。

期末に保有する仮想通貨は活発な市場が存在する場合には時価において評価することが規定されました。法人税法では、活発な市場が存在する仮想通貨は短期売買目的の金融商品と同様のものとして取り扱うこととされています。これにより、期末時の時価が取得原価を上回っている場合には評価益が、下回っている場合には評価損が計上され所得を構成することとなります。

なお、適用開始時期及び経過措置については以下のように定められています。

なお、適用開始時期は2019年4月1日以後に終了する事業年度からの適用となりますのでご留意ください。平成31年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上、期末に保有する仮想通貨につき時価評価していない場合には、時価評価による評価損益の計上及び信用取引等についてのみなし損益の計上は行わないことができる経過措置が設けられています(法人税法附則第12条、第19条関係)。

法人が事業年度末に有する仮想通貨の時価評価について

法人が期末時に保有する仮想通貨の評価方法として、活発な市場が存在するか否かによって、評価額の算出方法が異なることが規定されました。

これまで論点になっていた、期末において保有する仮想通貨を時価評価するのか、原価で評価するのかについて、明確化されています。

活発な市場が存在する仮想通貨の時価評価額

活発な市場が存在する仮想通貨の評価額は、時価法により評価した金額とし、その評価益又は評価損をその事業年度の益金の額又は損金の額に算入することになりました(法人税法第61条2項)。時価法により評価する仮想通貨の範囲は以下のとおりです(法人税法施行令118条の7)。

時価評価をする仮想通貨の範囲は、内国法人が有する仮想通貨のうち次に掲げる要件の全てに該当するものとする。

  1. 継続的に売買の価格が公表され、かつ、その公表がされる売買価格等がその仮想通貨の売買の価格又は交換の比率の決定に重要な影響を与えているものであること
  2. 継続的に前号の売買価格等の公表がなされるために十分な数量及び頻度で取引が行われていること
  3. 次に掲げる要件のいずれかに該当すること

第一号の売買価格等の公表が当該内国法人以外の者によりされていること
前号の取引が主として当該内国法人により自己の計算において行われた取引でないこと

活発な市場が存在しない仮想通貨の時価評価額

活発な市場が存在しない仮想通貨の評価額は、原価法により評価した金額とし、評価益又は評価損はその事業年度の益金の額又は損金の額には算入しません(法人税法61条2項、法人税法25条1項、法人税法33条1項)。

つまり、活発な市場が存在しない仮想通貨の評価額は、移動平均法又は総平均法により算定した取得単価に期末に保有する数量を乗じた金額となります。

譲渡損益の認識時点

法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益は、一定の場合を除き、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入されることになりました(法人税法61条)。

一単位あたりの帳簿価額の算出方法

仮想通貨の一単位当たり譲渡原価の算出方法は、移動平均法又は総平均法です(法人税法施行令118条の6)。法人の仮想通貨取引による損益について、移動平均法または総平均法によって計算する必要があることが規定されました。両計算方法の違いについてはこちらの記事を参考にしてください。

仮想通貨の確定申告で利用される「移動平均法」「総平均法」の違いとは?

2018.03.03

未決済の仮想通貨信用取引の処理

法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨信用取引は、事業年度末に決済したものとみなして計算した利益の額又は損失の額に相当する金額をその事業年度の益金の額又は損金の額に算入することになりました(法人税法第61条7項)。

仮想通貨の信用取引等について、期末に決済されていないものがある場合は、みなし決済損益額を計上する必要があります。

棚卸資産からの除外

仮想通貨について、棚卸資産の範囲から除外することとされました。従来、仮想通貨は棚卸資産に含まれうるという議論がありましたが、棚卸資産からは除外されることが明確化されました(法人税法第2条20号)。

NFTや仮想通貨売買以外の取扱

このように、今まで法令上の根拠がなかった仮想通貨の法人税法上の取扱について、法人税法、施行令及び施行規則で明確化されています。国税庁の税務調査等の実務上の根拠法令が明らかになったことで、仮想通貨の売買のみを行っている場合には、法令の定めに従って税務処理しやすくなったといえるでしょう。

一方で、資金決済法上の仮想通貨に該当しないNFT(Non Fungible token)の扱いや仮想通貨の売買以外の取引を行っている場合については、まだ論点として残されている状態です。そうした税務上の論点については一般社団法人 日本仮想通貨税務協会(JCTA)から「仮想通貨税務上の諸論点の取扱いに関する見解」などで、業界団体における見解が示されています。

仮想通貨独自の特殊な取引を行う場合には、今回の法人税法改正に加えて、こうした論点に関する見解についてもあわせて参照いただくことをおすすめします。

JCTA公表の「仮想通貨税務上の諸論点の取扱いに関する見解」まとめ

2019.03.01

なお、法改正によって明確化された、期末時に保有している仮想通貨を時価評価するのは法人のみですので、個人については含み益への課税はないことにご留意ください。

仮想通貨に関する確定申告(税金)の注意点【個別事例編】

2018.01.10

仮想通貨の会計処理を相談したい方へ

仮想通貨の会計処理は専門的な知識がどうしても必要となり、難しいと感じることも多いようです。Aerial Partners(エアリアル・パートナーズ)では企業様向けに仮想通貨の会計処理を代行するサービスや、会計処理を簡単に行うソフトも提供しており、仮想通貨を扱っている・扱う予定である企業様に対してのサポートが充実しております。一度こちらのページからお気軽にお問い合わせください。