仮想通貨の確定申告で利用される「移動平均法」「総平均法」の違いとは?

仮想通貨の確定申告にあたり、2017年12月に国税局より『仮想通貨に関する所得の計算方法等について』が公表され、仮想通貨に投資をされている方の所得計算に関する論点について、Q&A形式で指針が示されることになりました。

Q&Aで原理原則が示される一方で、その各項目についての詳細な規定は設けられていません。(2018/3/3現在)また、用語の定義等、一般の方にとってはわかりづらく感じる部分も多いと思います。

そこで今回は、株式会社Aerial Partnersに日々寄せられる質問の中でも頻度の高い、移動平均法・総平均法の内容や、両者の違いを解説します。

仮想通貨を売買した際の取得価額の計算方法

仮想通貨取引と一言にいっても、その種類は挙げればきりがないほどに多様です。

代表的なものとして、

  • 売買
  • マイニング
  • レンディング(及びボロウィング)
  • ハーベスティング
  • エアドロップ
  • ICOへの参加

等が挙げられますが、大多数の方が行っている仮想通貨の購入の単価計算の方法としての移動平均法・総平均法について、”売買のみを行っている”ケースを想定して解説をしていきます。また、以下の解説では”仮想通貨と法定通貨(円)の通貨ペア”での売買を前提としています。

先に紹介した『仮想通貨に関する所得の計算方法等について』においては、仮想通貨の取得価額の算定方法について、以下のように記載されています。

同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です(ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えありません。)。(第4項)

原則としては移動平均法を利用し、例外として継続適用を条件に総平均法も認められていますが、総平均法を利用するための要件は継続適用以外にないため、基本的にはどちらを採用することも可能になっています。

移動平均法と総平均法
移動平均法:仮想通貨の購入の都度、取得価額を算出する方法

総平均法:基準期間全体の購入金額合計を購入数量合計で除して算出する方法

両者を利用した場合の所得金額は、原価計算の前提が異なることにより変わることがありますが、その差はタイミングの問題であり、将来にわったって生じる所得の金額は一致することに留意が必要です。

しかしながら、所得税に関しては累進課税が採用されていることもあり、単年度で考えれば税率が変わる可能性もあるため、採用の判断は慎重に行う必要があります。

所得税の累進課税
所得税の税率は、所得が多くなれば高くなるという、累進課税が採用されています。累進課税の税率の詳細は、国税庁タックスアンサー『No.2260 所得税の税率』を参照してください。

移動平均法・総平均法の計算例

では、移動平均法と総平均法の計算方法とその違いを実際の例にあてはめてみていきましょう。

まずは、購入・売却がそれぞれ1回の最もシンプルなケースです。

【設例1】

ビットコインの時価が100円/BTCのときに3BTCを購入し、その後、時価が150円/BTCになったタイミングで1BTCを売却した。


このケースにおいては、購入した3BTCのうち、売却した1BTCに係る取得原価(= 100円)と、売却時の時価(= 150円)の差額である50円が所得として認識され、移動平均法と総平均法の間で計算結果に違いはありません。

では、もう少し複雑にして、購入が2回以上ある場合の計算はどのようになるでしょうか。

【設例2】

ビットコインを、①〜④の順で購入・売却した。
①時価100円/BTCで1BTCを購入
②時価150円/BTCで1BTCを購入
③時価200円/BTCで1BTCを売却
④時価275円/BTCで1BTCを購入

本設例においては仮想通貨の購入が計3回、売却が1回となっており、仮想通貨を売却した際の売却時価に対応する原価について、取得価額をどのように算出するかによって所得計算の結果がかわることになります。

③の1BTCの売却の時点において、売却時価である200円/BTCに対応する原価はいくらになるか、移動平均法・総平均法の順にみていきましょう。

まずは、原則的な方法として挙げられている移動平均法についてです。移動平均法においては、仮想通貨の取得価格(単価)は仮想通貨の購入の度に計算します。

③の売却時においては、直前の②の購入までで計算された単価である125円をもって原価とするため、(200円 – 125円)×1BTC = 75円が所得金額となります。

次に、継続適用を条件に利用が認めら得れている総平均法についてです。

総平均法においては、基準期間(本設問においては①〜④の取引を含む全期間)に購入した金額合計を、基準期間に購入した仮想通貨の数量合計で除して、基準期間全体で一律の取得価額(単価)を利用します。

本設問においては、①②④の仮想通貨の購入金額合計である525円と、購入した数量合計3BTCで除して計算された175円/BTCという単価を一律で利用します。

したがって、(200円 – 175円)×1BTC = 25円が所得金額となります。

 

上記設例のように、移動平均法と総平均法の最大の違いは購入した仮想通貨の取得価額(単価)を計算するタイミングです。移動平均法は購入の都度取得価額(単価)を計算しますが、総平均法は基準期間の最後にまとめて取得価額(単価)を計算します。

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総平均法・移動平均法の違い

取得原価の計算方法について、前提仮想通貨の購入単価の計算に移動平均法を使用した場合と総平均法を使用した場合の計算結果は、単年度では異なるものの、将来にわたって生じる所得金額は一致します。

しかし、2017年度の仮想通貨市場や上記設例2のように、基準期間を通じて相場が上昇トレンドの場合には、総平均法を用いると時価のあがった後半の期間に仮想通貨の購入を行うことにより、所得計算を行う売却時に利用する取得価額(単価)が上昇し、結果として所得金額が少なくなることが多くなります。

なお、上昇相場といっても、短期でみれば時価は上下しているので、売買のタイミングによっては移動平均法・総平均法それぞれで計算した所得金額の大小は逆転することもあるため留意が必要です。また、2018年度以降仮想通貨の市場が下降トレンド入りするようなケースでは、上記と逆の状況になるのは言うまでもありません。

例外的方法である総平均法の採用にはデメリットも

ここで理解しておきたいのは、例えば設例2において、④の購入時のBTC時価が100万円に上昇しているような極端なケースを想定すると、③の売却の時点で確かに利益を確定しているにもかかわらず、総平均法を利用すると取得価額(単価)が大幅に上昇することにより所得計算上は所得がマイナスになってしまうということです。

このように、移動平均法と総平均法を比べた場合に、経済的な実態により即した方法としては移動平均法の方が優れており、そういった点を考慮して、国税庁のQ&Aにおいても原則的な方法とて挙げられているものと考えられます。

また、総平均法の取得価額の算定方法は基準期間中のすべての仮想通貨の購入を集計する必要があり、基準期間が終わるまでは単価が把握できず、所得の見積りや納税資金の準備においては不利な方法といえるでしょう。

移動平均法と総平均法の違い

【移動平均法】

  • 購入の都度取得価額(単価)を算出するため、計算が煩雑
  • 経済的な実態に即した計算方法
  • 年度中に所得計算ができるため、所得の見積りや納税資金の準備が行いやすい。

【総平均法】

  • 年度内のすべての購入を集計し、一度で単価を計算できるため計算が容易
  • 購入タイミングや市場のトレンドによっては経済的な実態と乖離してしまう可能性がある。
  • 年度が終わらないと取得価額(単価)がわからないため、納税資金の準備が行いづらい。

まとめ

移動平均法・総平均法の計算方法と、その違いについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

仮想通貨の購入を2度以上行った場合の売買においては、その取得単価の計算において移動平均法を利用するのが相当とされていると同時に、継続適用を条件に総平均法を利用することも認められています。

2017年度のような全体的に上昇トレンドの相場においては、総平均法を利用することで所得が小さくなるケースが多いため、単年度の所得税だけを考えると有利な方法に思えるかもしれませんが、その場合においても、所得の実質的な繰り延べが行われているだけで、翌年以降の相場や他の所得の状況等、考慮すべき事項は複雑且つ多岐にわたります

適正な確定申告をしていただくためにも、仮想通貨の所得計算で迷った際は、専門家である税理士への相談をおすすめしています。

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