【どうなる?仮想通貨の税制】 金融庁 平成31年度税制改正要望を解説

金融庁から平成31年度税制改正要望が公表されました。
来年度の税制改正に関する重要な内容となっているため、気になる仮想通貨の税制がどうなっていくのか解説していきます。

平成31年度税制改正要望(金融庁)

※この記事は2019年8月23日時点の情報をもとに作成されています。

金融庁の税制改正要望とは

税制改正要望とは、毎年各省庁が翌年度以降の税制改正について盛り込みたい事項を、税制を統括する財務省に対して要望するものです。

この要望を受けて、与党の税制調査会が、各省庁から出された税制改正要望を取りまとめて委員会などで議論を重ねていきます。

こうして議論を重ねた後、毎年12月に税制改正の大綱の発表を行います。その後、年明けに閣議決定を行った上で、国会を通して法律として成立させていく流れとなります。

つまり、金融庁からの税制改正要望は、こうした一連の税制改正の流れのスタート地点といえる重要なものとして位置づけられます。

暗号資産(仮想通貨)の言及なし

今回の金融庁の税制改正の要望の中には、暗号資産(仮想通貨)に関する言及はありませんでした。これは、税制改正の土俵からは現時点では外れている状態にあることを意味しています。

2019年7月に一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)及び一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)から金融庁に対して税制改正要望書が提出されておりました。その要望の要点は次の3点でした。

要望書の要点

  • 申告分離課税の適用
  • 暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引・現物取引に申告分離課税を適用し、税率は20%とすること。

  • 損益通算・繰越控除の適用
  • 損失が出た場合に他の所得と相殺できる「損益通算」や、損失を3年間繰り越せる「繰越控除」を認めること。

  • 少額非課税制度の導入
  • 少額の決済利用における所得については課税対象から外す「少額非課税制度」を検討すること。

金融庁の税制改正要望の中にこれらの事項が含まれなかったことによって、税制改正が行われる流れの中に、暗号資産(仮想通貨)に関する議論が乗ってきていない状況といえます。

今後、暗号資産(仮想通貨)にかかる税制改正が反映されるためには、与党における税制調査会で議論されるかどうかが鍵となります。

電子マネー、ポイントと仮想通貨との連携の広がり

先日、日本初の取組として、暗号資産(仮想通貨)取引所DeCurret(ディーカレット)が「電子マネーチャージ」サービスを開始し、同様にbitFlyer(ビットフライヤー)もTポイントをビットコインに交換できる「Tポイントプログラム」サービスを開始しており、こうした新サービスで決済目的での暗号資産(仮想通貨)利用が増えること見込まれます。

【ディーカレット、bitFlyerユーザ必見】 電子マネーチャージ、Tポイント交換時の仮想通貨の税金はどうなる?

2019年8月21日
少額の決済が今後もますます増えていくことが予想されることから、少額非課税制度の導入は急務であると言えるでしょう。

また、 個人が暗号資産(仮想通貨)の利用や投資を断念する大きな要因として、暗号資産(仮想通貨)にかかる税率の高さが挙げられます。最近ではディーカレットにおけるレバレッジ取引の開始、楽天ウォレットにおける現物取引の開始など、 暗号資産(仮想通貨)取引を拡大する動きが活発になっています。

申告分離課税が採用され、税率が20%とされれば、暗号資産(仮想通貨)の利用者の拡大が見込まれるところです。

今後もAerial Partnersとして来年度の税制改正にむけて働きかけを行うとともに、その状況についても発信していきます。

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著者:藤村 大生 公認会計士・税理士 株式会社Aerial partners 事業部長
 
監査法人でデューデリジェンス、原価計算導入コンサルなどの業務を中心に従事。また、証券会社の監査チームの主査として、分別管理に関する検証業務も行う。暗号資産事業者に対する経理支援を行っており、暗号資産会計・税務の知見に明るい。