仮想通貨(暗号資産)取引で損益とみなされるのはいつ?課税対象となるタイミング8選

仮想通貨(暗号資産)取引において、基本的には20万円以上の所得が発生した場合に確定申告が必要となります。

ただしこの20万円とは、単純に取引所から銀行口座へ引き出した日本円の金額というシンプルなものではありません。「まだ日本円に出金していないから確定申告しなくても大丈夫だろう…」と思っていると、後々申告漏れを起こしかねません。

実は、仮想通貨取引で課税対象となる損益が発生するケースには様々なタイミングがあるのです。特に複数回の取引を行っている方は注意が必要です。そこで今回は、仮想通貨取引における損益発生のタイミングについて解説していきます。

監修税理士

仮想通貨取引における課税対象のタイミング8つ

仮想通貨取引の代表的なにおいて、課税対象となる損益が発生するタイミングを8つ紹介します。

  1. 売却したとき
  2. 決済したとき
  3. 引き換えたとき
  4. ボーナス・エアドロップで報酬を得たとき
  5. ハードフォークによって新しい通貨を取得したとき
  6. マイニングによる報酬を取得したとき
  7. PoS・ステーキングの報酬によって通貨を取得したとき
  8. 第三者間でやりとりがあるとき

実際に国税庁が公表しておりますので、これらをしっかりとおさえれば確定申告をすべきかどうかに悩みません。

なお、仮想通貨にかかる税金の基本については以下の記事をご確認ください。

仮想通貨(暗号資産)にかかる税金と確定申告の基本|税理士がわかりやすく解説!【2023年最新】

仮想通貨を売却したとき

仮想通貨を売却した時点で損益が発生します。仮想通貨を取得したときの取得価額*と売却したときの価格との差額が損益額となります。仮想通貨を売却して取得した日本円を取引所から出金したかどうかは、損益の計算上は影響がありませんので、自分の好きなタイミングで出金して問題ありません。

*取得価額:仮想通貨を取得するために支払った金額(手数料なども含む)。取得価額の算定方法は採用する計算方法により異なります。詳しくはこちら

<保有している通貨の時価が上がったときは?>
保有通貨の時価が上がって含み益が発生したとき、その通貨を売却せず保有している限りでは損益は発生しません。つまり、課税対象にもなりませんので確定申告は不要です。通貨の売却または決済などによって損益を実現させると課税対象となります。

仮想通貨で決済したとき

仮想通貨で商品またはサービスを購入する場合も、決済時点で損益が発生します。

というのも、この取引は仮想通貨を一度売却したあとに、日本円に換金したうえで商品・サービスを購入したという程で扱われるためです。

この場合では、商品やサービスの決済時点での価格と入手時点での時価でプラスになっていれば損益が発生しています。つまり、決済時に損益が発生していた場合には以下のような計算式で導き出されます。

「商品・サービス決済時の価格」ー「仮想通貨の取得価額」=「所得額」

仮想通貨での決済時もしっかりと課税対象となる点に注意しましょう。

2種類の仮想通貨を引き換えたとき

日本円と仮想通貨によるやりとりだけに限らず、仮想通貨同士の引き換えにおいても損益が発生します。

例えば、BTCをETHに引き換えた場合、これはBTCを一度売却して日本円とし、その金額でETHを購入する取引と何ら変わりはありません。よって、2種類の仮想通貨による取引でも同様に損益が発生します。

この点、仮想通貨を日本円にしていなければ課税されないと考える個人投資家も少なくありません。ですが、実際には2種類の仮想通貨による引き換えも同様に課税され、国税当局も税務調査でチェックを行う事項であるため注意が必要です。漏れなく所得を認識し、適切な損益計算を行いましょう。

ボーナス・エアドロップで報酬が配布されたとき

ボーナス・エアドロップで仮想通貨を入手した際は、以下2つの場合で扱いが異なります。

  1. 入手した通貨に市場価値がついている場合(取引所で取り扱いがあるなど)
  2. 通貨に市場価値がついていない場合(未上場の通貨など)

まず、すでに通貨の価値がついている場合ですが、入手時点の時価を損益として認識し、その金額がそのまま取得価額となります。つまり、入手した報酬額は全額課税対象です。

一方、通貨の価値がまだついていない場合は、取得価額が0の扱いなので損益も発生しません。ただし、通貨の売却時における金額がそのまま所得として換算されます。

ハードフォークによって新しい通貨を取得したとき

イーサリアムクラシック(2016年7月)やビットコインキャッシュ(2017年8月)など、ハードフォークによって新しい通貨が付与されることがあります。この場合、付与された時の取得価額は0となり、付与時点では損益は発生しません。これはハードフォーク直後において、新たな仮想通貨の市場が存在せず、価値のないものとみなされるためです。その後、その通貨の価値が上がり、売却した時は売却総額がそのまま所得金額となります。

マイニングによる報酬を取得したとき

マイニングによって取得した仮想通貨は、取得した時点で損益が発生します。一方でマイニングの際にかかった費用は経費として計上されます。そのためマイニングで取得した仮想通貨の時価とマイニングにかかった費用との差額が所得となります。

PoS・ステーキングの報酬によって通貨を取得したとき

2020年1月に仮想通貨取引所Coincheck(コインチェック)がLiskを対象としてステーキングサービスを開始しました。

ステーキングとは、仮想通貨を保有したままにしてブロックチェーンのネットワークをサポートすること。該当する通貨を保有することで、金額に応じた報酬を受け取れる仕組みです。

この方法においては、報酬を受け取った時点で、その時点での時価が収入となります。受け取った通貨の取得価額は報酬によって受け取った時点での時価になります。

第三者間でやり取りがあるとき

友人や家族と直接仮想通貨のやり取りを行っている場合は、その取引の目的や内容によって損益が発生するタイミングが異なります。

詳しい内容はこちらの記事で解説しておりますので、家族や友人など取引所を介さない取引を行った方はされた方はご確認ください。

第三者との仮想通貨(暗号資産)取引がある場合の税金

2020年8月6日

仮想通貨の課税タイミングでよくある質問

年またぎで損益を確定したときはどうなる?

前年に取得した仮想通貨を、年またぎで損益確定した場合でも、通常の売却時と同様に取得時の価額を参照して損益を計算します。
例えば、2022年に120万円でビットコイン(BTC)を購入し、翌年2023年に100万円で売却した場合、2023年中には20万円の損失が生じたということになります。

ただ、損失については引き継ぐことができません。
先述した状況から続き、2023年にビットコインを95万円で買い直し、2024年に110万円で売却して年末を迎えたとすると、2024年は「25万円の利益を得た」ということになり、税金がかかります。

上記の状況だと、2022年から2024年までを通しての利益は「5万円」ですが、損失は引き継げないことから、利益のみが出た「2024年の25万円」に税金がかかってきます。
取得から損益確定までを年またぎで行うことは、通常の課税タイミングと変わりはありませんが、もし損失が出る通貨と利益が出る通貨がそれぞれあった場合、その年のうちになるべく相殺した方が節税につながります。

詳しくはこちらの記事もご参考ください。

【仮想通貨の税金対策】利益を圧縮して節税する方法を徹底解説

Tether(USDT)などのステーブルコインは課税対象になる?

暗号資産の中には、価格の安定性実現に向けて設計されたステーブルコインと呼ばれる通貨があります。

【主なステーブルコイン】

  • Tether(USDT)
  • USDC(USD Coin)
  • UST(TerraUSD)
  • Binance USD (BUSD)
  • JPYC(JPY Coin)

ステーブルコインの保有においても、基本的には仮想通貨との交換を行うため、通貨同士の取引時に損益が発生します。ステーブルコインの取引に関する損益計算は、仮想通貨同士の交換をしたときを参照してください。


課税対象となるタイミングを把握して適切に確定申告へ臨もう

今回紹介してきたように、仮想通貨取引では行為によって課税対象となる損益発生のタイミングは異なるので注意が必要です。
確定申告を行うかどうかの判断は、過去に行った取引が損益発生のタイミングに該当していないかを十分に考慮して損益計算しなければいけません。

仮想通貨(暗号資産)にかかる税金の計算は取引が多いほど複雑になります。

詳しくは仮想通貨(暗号資産)にかかる税金の計算についてご確認ください。

なお、確定申告では経費の集計などの専門知識も必要です。
不明点はそのままにせず、税理士や税務署に相談したうえで行うことを推奨します。

仮想通貨(暗号資産)の確定申告を簡単に終わらせる方法

仮想通貨における確定申告の中でも特に損益計算は、非常に煩雑な作業です。国内外に渡って複数の取引所を兼用している投資家にとっては、所得計算に対して頭を悩ませていることでしょう。

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