DeFiの税金・損益計算について|確定申告を行うために必要なこと

2020年後半から大きな盛り上がりを見せているDeFi(分散型金融)ですが、損益計算・確定申告が適切にできずに困る人が多くいます。この記事ではDeFiの税金についてと、なぜDeFiの確定申告は難しいと言われているのか、また、申告のためにやるべきことについて解説していきます。また、損益計算サービスGtaxを使った計算方法についても紹介しています。

DeFiの取引を行う上では、本記事の内容を理解していないと適切に損益計算ができず、思わぬ課徴金などの原因になる可能性もありますのでDeFiの取引を行っている方、これから取引を始めようとしている方はよくご確認ください。

注意事項
現在DeFiの取引に係る税務上の取り扱いについては、明確なルールが決まっていません。本記事の内容は弊社の見解であり、内容の正確性は保証できかねますので、実際に税務判断が必要となるケースでは税理士や税務署に相談の上判断してください。

DeFiの取引で発生する税金と利益が発生するタイミングについて

一口にDeFiといっても、UniswapやCompound、PancakeSwapやCurveのように利用するプロトコルによって行える取引が異なります。

ここではDeFiの代表的な取引で、確定申告のための損益計算において抑えておくべきポイントついて説明していきます。

通常の仮想通貨取引で所得が発生するタイミングについてはこちら↓をご確認ください。

仮想通貨(暗号資産)取引で損益とみなされるのはいつ?課税対象となるタイミング8選

2020年9月23日

スワップ

仮想通貨同士を交換できるスワップは、仮想通貨同士の売買と同じく損益が発生する可能性があります。例えば手持ちの1ETHを1,000USDC(=10万円とする)に交換する場合を考えてみましょう。

スワップを行った際にETHの価格が取得した時よりも上がっている場合は損益が発生します。

例えば1ETHを3万円で購入していた場合は7万円の利益となります。

10万円(1,000USDCのスワップ時の時価)ー3万円(ETHの数量×1ETHあたりの取得価額)=7万円(利益額)

ステーキング・レンディング

仮想通貨をステークすることで報酬を得ることができるステーキングでは、報酬を受け取る権利が確定したタイミングで、その時点での時価が利益となります。受け取った通貨の取得価額は報酬を受け取る権利が確定した時点での時価になります。

レンディングについても同様なので、利子(レンディングに対する報酬)を受け取る権利が発生したタイミングで利益として認識する必要があると考えられます。

流動性提供

UniswapやPancakeSwapなどのDEX(分散型取引所)では、流動性提供という取引方法があり、仮想通貨のペアをプールすることで、取引手数料を報酬としてもらうことができます。

本来、報酬や配当、エアドロップ等は受け取った時点の時価で利益として認識するべきですが、流動性提供ではプールしたペアの残高が刻々と変化するので報酬を認識するだけでは損益計算は完結しません。ですので、プールした仮想通貨を引き出した時に、プールした通貨の数量と引き出した通貨の数量の増減を算出して最終的にどの通貨がどれだけ増減したのか、というのを損益へ反映させる方法が一つの案として考えられます。

例えば、1ETHと100USDCをプールして、引き出したら0.5ETHと250USDCとなっていたとします。この場合は、減少した0.5ETHが費用、増加した150USDCが収入となることが考えられます。

なぜDeFiの確定申告が難しいと言われているのか?

仮想通貨取引によって一定以上の利益が出た場合は確定申告を行い、納税する必要がありますが、DeFiプロトコルを利用して取引をしている場合は確定申告が難しくなると言われています。

DeFi取引による所得の確定申告が難しいと言われている理由は損益計算にあります。

一般的な仮想通貨取引所のみで取引を行っている場合は、取引所から履歴データをダウンロードし、税理士に提出、またはGtaxのような損益計算ツールにアップロードするだけで年間の利益額(または損失額)を計算することができます。

一方で、DeFi取引の場合はプロトコルに紐付けたウォレットのトランザクションを取得しそのトランザクションデータから損益計算に必要な情報を整理し算入する形となります。ただし、DeFiでは様々な取引を行えるにも関わらず、取得できるトランザクションデータは基本的に「IN(通貨の入金)」「OUT(通貨の出金)」というシンプルな形式となっております。
そのため、トランザクションが「どういった取引なのか」ということを判断し、整理・加工して損益計算に算入するという作業が発生します。この作業において、第三者(損益計算ツールや税理士)がどういった取引なのか判断することは難しく、取引を行った投資家様本人で取引内容の判断・整理・加工と管理する必要があります。

管理するためには、DeFiで行った取引の損益計算ロジックを理解することが必要であるため、損益計算の難易度が非常に高くなります。

【重要】DeFiの取引を行う上で損益計算・確定申告のためにやるべきこと

DeFiは分散型で、管理者がいないという特徴を持っており、中央集権型の金融サービスと比較して様々なメリットがあります。一方で、多くのケースでは管理者がいないために取引履歴の記録を行っていない(詳細な取引履歴を取得できない)という特徴があります。

そのため、DeFiの取引を行う場合は、一般の企業がお金の流れを記録するように、行ったすべての取引を自分で記録しておく必要があります。取引履歴の管理・記録ができていない場合には損益計算を正しく実施できず、思わぬ課徴金などの原因となる可能性がございますので注意するようにしましょう。

DeFiの取引の損益計算を行う方法

上で説明したように、行ったDeFiの取引をしっかり記録できているのであれば、仮想通貨の損益計算サービス「Gtax」を使うことでDeFiについての損益計算も一部自動化することができます。

Gtaxには「DeFiデータ登録機能」があり、この機能を使ってDeFiの取引を自分で整理して損益計算を行うことができます。

GtaxのDeFiデータ登録機能でできること

①DeFiに関する取引のデータをGtaxにアップロード

DeFiの取引履歴をGtaxにアップロードします。
アップロードした情報だけでは計算に必要な情報が足りない場合には、計算に必要な情報を付け足していきます。

※2021年9月現在、Zerionの取引履歴にのみ対応しています。(現状ETHチェーンのみに対応) 

②不足している取引の情報を追加・整理

[流動性提供の登録画面]

アップロードした取引履歴の「取引種別」の選択や、取引内容を自身で整理することができます。一つ一つの取引履歴の情報を整理・追加することで、損益計算が実施できるようになります。

※DeFiデータ登録機能は現在β版として提供しています。